最高裁判所第三小法廷 昭和40年(オ)7号 判決 1965年6月01日
主文
なし
理由
上告代理人三木仙太郎の上告理由第一点について。
約束手形の振出人が、その自由意思により手形を名宛人に寄託中、その者が寄託の趣旨に反して流通に置いた場合、振出人は、物的抗弁として、手形の発生を否定することができない旨の原判決の判断は正当として是認することができる。論旨は、独自の見解であつて、採用することができない。
同第二点について。
原判決は、被上告人が所論の事情につき悪意で本件手形を取得したとは認められないと判断しているのであるから、所論の事情の存否は判決に影響を及ぼさない。論旨は排斥を免れない。
同第三点について。
本件手形が訴訟行為をなさしめることを主たる目的として裏書譲渡された事実は、原審で主張されず、したがつてその判断を経てない事項であるから、事後審である当審で審及しうるかぎりではない。論旨は採用することができない。
〔関係金融機関〕紀陽銀行(被上告人)